ATとMTの違いについて
更に詳しく
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AT(オートマチック・トランスミッション)
オートマとも呼ばれ、自動でギアチェンジがされるようになっています。
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MT(マニュアル・トランスミッション)
マニュアル・ミッションとも呼ばれ、クラッチを踏んでから手動でギアを変更するのが特徴です。
簡単に言うとアクセルを踏むだけで加速し、ブレーキを踏むだけで止まるのがAT、それに加えて変速操作も手動で行うのがMTです。
現在ではATの方が主流
自分でギアチェンジをする必要がない分、ATの方が操作しやすいと言われていて、このAT免許で運転できる車が現在の日本では一般的な車です。
MTに比べて教習内容がちょっとだけ少ないので、取得期間・費用もちょっとだけ少なく済みます。
一昔前まではMTが最も一般的でしたが、警視庁の運転免許統計によると2009年以降はATでの取得が主流になっています。
- 2017年の法改正の影響で、現在ではせっかくMTで免許をとっても、2tトラックにすら乗れなくなってしまったことや、
トランスミッション自体が存在しないためAT免許扱いになる電気自動車の登場などがMT免許取得者数の減少要因として考えられます。
AT・MTどちらの免許を取得するべき?
AT免許ではMTを運転することが出来ませんが、MT免許はAT・MTどちらも運転することが出来ます。
しかし、現代ではほとんどの乗用車がAT免許で運転できる車なので日常生活で使用する分にはAT免許で全く問題ないといえます。
実際に
「免許はMTで取ったけど結局ATしか運転してない」
という方は珍しくありません。
- 免許制度上の「AT車」とは『クラッチ操作を必要としない車』です。そのため、『手動でギアチェンジが必要だがクラッチ操作不要の車(一部のDCTやAMTなど、いわゆる2ペダルMTやセミオートマと呼ばれるもの)』も免許制度上はAT車なので、AT免許で運転可能です。
ATとMTで実際の運転に
どのくらい違いがでるのか、
停止状態からの発進操作を例に
説明していきます。
ATのフットペダル・発進操作について
現在主流のAT車では手動でクラッチ操作を行う必要がないため、ペダルはアクセル・ブレーキの2種類しかありません。
- AT車のフットペダル。アクセル(右)とブレーキ(左)だけで、どちらも右足で操作します。
発進時はブレーキを踏みながらエンジンを始動し、シフトレバーを「D(ドライブ)」の位置に動かします。
- AT車のシフトレバー。このように運転席と助手席のシートの間に設置されるのが一般的です。
- こんな風にシート横ではなくハンドルの横に設置されている場合もあります。
あとはブレーキを解除してアクセルを踏むだけで発進、加速していきます。簡単ですね。
ちなみに、AT車の場合「D」の位置にシフトを入れてブレーキを踏まずにいると、アクセルを踏まなくてもゆっくりと車が前に進みます。
- この現象をAT車のクリープ現象と言います
MTのフットペダル・発進操作について
これに対して、MT車では変速操作を手動で行うため、アクセル・ブレーキに加えてクラッチを操作するためのクラッチペダルがついています。
- MT車のフットペダル。アクセル・ブレーキは右足、クラッチは左足で操作します。
クラッチとは、簡単に言うとエンジンの動力をタイヤにつないだり、切ったりするための装置です。
クラッチペダルを踏むとクラッチが切れ、ペダルから足を離すとつながります。
詳しく説明すると難しくなりすぎるので、実際の仕組みとは少し違いますがわかりやすい表現で説明していきます。
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このようにクラッチペダルをしっかり踏み込んだ状態ではクラッチが完全に切れています。
どれだけアクセルを踏んでエンジンの回転を上げても、タイヤには1%もエンジンの力が伝わりません。 -
反対に、クラッチペダルから足を離した状態では強い力で押し付け合うことでエンジンとタイヤがつながり、エンジンの動力がタイヤに伝わります。
何故このような装置が必要かと言うと、発進時などはエンジンの回ろうとする力が車の重さに負けてしまい、エンジンが止まってしまうからです。
MT車の場合、発進時にはクラッチとブレーキを両方踏みつつシエンジンを始動します。 -
- MT車のシフトレバー。1が1速、2が2速という形で手動でギアを選びます。Rはバック用のギアです。
シフトレバーを1の位置に動かして1速に入れて、ブレーキを解除しても足はまだクラッチペダルから離せません。
停止状態から急にクラッチをつないでしまうと、車の重さに負けて急激にエンジンの回転数が下がりエンジンが止まってしまいます。 このようにエンジンが低回転になりすぎて意図せずに止まってしまう(ストールしてしまう)現象をエンジンストール、通称「エンスト」と言います。 -
ではどうするのかというと、発進時はある程度アクセルを踏んでエンジンの回転数をあげつつ、クラッチを踏む力を少しゆるめて半分だけクラッチをつないだ状態、いわゆる「半クラ」の状態にする必要があります。
この状態ではクラッチはつながっているものの、それほど強い力では押し付けていません。
少しだけ「すべっている」状態になると思ってください。
こうすることでエンジンが止まるほどの負荷はかからず、ある程度タイヤにも動力が伝わるようになります。この状態で車が動き始めてから初めて、ゆっくりとクラッチペダルから足を離していきます。
ある程度タイヤが回っているので、クラッチを完全につないでもエンジンが止まってしまうことはありません。
無事発車出来たら再度クラッチを踏み、シフトレバーを「2」に入れて2速に切り替えます。 クラッチが繋がっている状態ではギアは変えられません。この時アクセルを踏んだままクラッチを踏んでしまうと、タイヤからの抵抗がなくなるため急激にエンジンの回転数が上がってしまいます。
そのためクラッチを切ったら同時にアクセルも離してシフト操作をしましょう。
シフト操作が終わったら、ある程度アクセルを開けつつクラッチをゆっくり戻します。
クラッチをつなぎ終わり、スピードが上がってきたら同じように操作して3速、4速とギアを上げて加速していきます。 速度や車種によりますが、走行中は一般道なら3~4速、高速道路なら5~6速で走行する場合が多いと思います。減速時はブレーキをかけながらギアを下げていきます。
また、赤信号や一時停止などで停止する必要がある時はクラッチを切る必要があります。
クラッチを切らずに止まったり減速し過ぎてしまうとやはり「エンスト」を起こしてしまいます。停止からの再発進時も、再度半クラを使って1速から順番に加速していく必要がありますし、止まらなくてもカーブを通過する時などは減速してギアを下げ、通過後に再加速してギアを上げるなど、MT車の変速操作は走行中頻繁に行う必要があります。
ちょっと難しいですね。